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SF小説「ゲームの王国」上下巻 感想

サロト・サルー後にポル・ポトと呼ばれたクメール・ルージュ首魁の隠し子とされるソリヤ。貧村ロベーブレソンに生を享けた、天賦の智性を持つ神童のムイタック。皮肉な運命と偶然に導かれたふたりは、軍靴と砲声に震える1975年のカンボジア、バタンバンで出会った。秘密警察、恐怖政治、テロ、強制労働、虐殺ー百万人以上の生命を奪ったすべての不条理は、少女と少年を見つめながら進行する…あたかもゲームのように。

 

久しぶりにSF小説を読みましたが、本当に面白かった。SF小説というと伊藤計劃の作品をどうしても思い浮かべてしまいますが、私のなかでは、それに負けないくらい、いや、それ以上に楽しめました。

この作品は、第38回日本SF大賞、第31回山本周五郎賞を受賞した作品ですが、正直あまり興味はなく、読んでみようとも思ってはいませんでした。

しかし、たまたま、仕事の関係で、作者の小川晢さんと連絡を取ることに。これも縁なので、「ゲームの王国」を読んでみることに。すると面白いのなんのと。

そこからは、もう一気に読み終えました。学生時代に旅をしたことがあるカンボジアが舞台ということもありましたが、カンボジアの風景や空気感を思い出し、とても懐かしくなりました。(これも作中に出てくる記憶の話のとおり、きっと正確なものではないのでしょうが・・・。)

 

上巻は歴史小説、下巻はSF小説といった構成で、上巻ではカンボジアで起こったクメール・ルージュについて描かれ、下巻では、それを下敷きにし、2023年頃の近未来が描かれています。

基本的には、ムイタックという少年とソリアという少女の人生について描かれているのですが、その他の登場人物たちがみなキャラが立っています。

特に、ムイタックの生まれた村の人々は特にやばいです。土を食って、土と会話できる人、輪ゴムと会話できる人、13年間喋っていない人とか。この村には絶対に行きたくないなと思いますね。笑

その各々の人生が複雑に絡み合って、ムイタックとソリアの人生に収束していく感じでしょうか。もうみんな主人公です。

登場人物が結構多く、名前も似ていたりするので、上巻下巻の冒頭にある登場人物一覧を何回も見直しながら読んでいました。

たまに「上巻は、面白かったけど、下巻でついていけなくなった」みたいな感想をネットで見ますが、個人的にはそんなこともなく最後までがっつり楽しめました。

ここ数年でナンバー1かも。SF小説を敬遠している人にもぜひ読んで欲しい作品です!

 

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